不動産投資における交渉について
交渉の構造がゼロサム型であると認識されたならば、WIN-WIN型に転換を図っていく努力が大切である。
交渉のデザインと実践スキル 合理的な結論を得るためのシナリオとは (Sannoマネジメントコンセプトシリーズ) [ 産業能率大学総合研究所 ]
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不動産投資をやていると様々な場面で交渉が必要になります。
ここで手法を間違えると望ましい結果を得ることができなくなります。
代表的な手法として、まず1つは、Door in the Faceというものがあります。
これは最初に過大な要求を出して、相手に断られたら徐々に本命の要求を出していきます。
人間は反報性の心理というのがあって、相手の要求を断り続けると申し訳ない気持ちがたまりできるならば要求に応えたくなってしまいます。
一説には人類が長い歴史の中で協力して生き延びてきたことの名残というか、これを持っていない個体は淘汰されてしまったので、反報性を持った人間とその子孫が生き残ったということらしいです。
どんな場面で使えるかというと、例えばある程度関係性ができていて、今後も継続して良好な取引を続けたい時に有効です。
いつもお願いしているリフォーム屋さんになるべく安く工事をしてもらいたい時に、今50万円しか現金無くてさ。何とかなんないかな?なんて言うと、さすがに50万円は無理だけど、工期や仕上がりを工夫すれば150万円が100万円位になりますよ。
じゃあ、あと50万円はローン組むから100万円でよろしくね!
てな具合になります。
もう1つはFoot in the doorというテクニックです。
これは相手が受け入れやすい要求からはじめて、徐々に過大な要求を出していくテクニックです。
これは人間がいったん立場を決めたなら、終始その一貫性を保った方が心地よいという心理を利用したものです。
これは初めて取引をする相手に有効です。
例えば投資用の不動産を購入しようとして初めて不動産屋に行ったとします。
その時にDIF戦略を用いたら、初めから相手にされない可能性があります。
それで、初めは小さな値引を要求して受け入れてもらい、相手を袋小路に追い詰めながら徐々に過大な要求をしていきます。
具体的に言うと、1億円の物件を購入するとします。まずは銀行の審査の関係で1億円未満にして欲しいと伝えます。具体的には9900万円でお願いしますと言って、買付証明も出します。
そして銀行に持ち込んで2週間位待ちます。
そうすると不動産屋から連絡が来るでしょうから、その時に9500万円でないと銀行の担当が稟議書を書けないと言っているので、ご協力頂けないでしょうか。
とお願いします。
ここで飲んでもらったら、もう1つレインズを落としてくれとお願いをします。なぜならかなり無理な稟議書を書いてもらっているので、ここで他の人に買われてしまったら銀行担当者の立場が無くなるという理由でお願いします。
これを飲んでもらえたら、ローン特約付きで契約を結びましょう。もちろん手付も払います。この時点で相手方は私と契約するしか方法がなくなります。
更に1か月ほどすると、不動産屋からしびれを切らした電話がかかってきます。
そこで、トドメです。
銀行審査が想定よりもかなり厳しくて、あと1000万円安くしないと通らないそうです。さすがに1000万円は難しいと思うので、今回は諦めるか、私の方で無担保ローンを300万円ほど引っ張ってくるので(もちろん嘘)あと700万円値引してくれないか。とお願いします。
たぶんふつうの不動産屋だったらキレますが。しおらしく、落ち込んだ雰囲気で対応すればだいたいの場合、こちらの要求を呑んでくれます。
買主も売れたつもりになっているし、不動産屋も契約を結んだ時点で売り上げに計上しているケースが多いからです。
これで当初1億円の物件が8500万円になりました。
交渉はしっかりとした知識と経験そして実践を積めば必ず上達します。
本を10冊読むだけで、私はトータルで5000万円以上の値引に成功していますので、これほど投資効率のよい対象はないと考えています。